イノベーションは、上り坂の時に取り組むだけのものではありません。事業撤退や規模縮小に出くわすときがあります。いわゆる殿戦のように戦いながら、次のチャンスを窺うようなケースなどで、リソースの再配分や仕掛資産の損切りなどを含むしんどいイノベーションに取り組むわけですが、こうした縮退時のイノベーションを説いた教材は決して多くはありません。
今回の感染症の出来事は、突然として需要が消滅してしまったのではないかと思えるくらい、お客様の行動変位が起きて極端な需要シフトが出現しているのだと思います。事業が変化している今こそがチャンスだと信じています。
本項で扱う「縮退のイノベーション」の本質は、事業変革です。
需要が消散している状況ですが、実は人々が生活している状況は変わっていません。確かに3密を避けるために、外出時の行動変異が起こって活発な消費行動をしている訳ではありませんが、安心の条件が揃っているトコロでは、むしろ消費が伸びているのではないでしょうか。
事業構造や経営企画のマネジメントにあっては、既存ビジネスの未来価値を見極めたとき、表題のように縮退が避けられない場合、現有の経営リソースを割譲し「新しいビジネスのタネ」を創造する必要があります。損切りの資源をリリースするという最終決断の前にやるべきことであり、この思考力は常日頃からトレーニングを重ねておくべきものです。
ビジネスサファリで探索するチームは、
1) 組織の最も優秀な人材を充てるコト。
2) チームは数名の少数で構成するコト。
3) 干渉しないコト。
上長に許されている権限は、人事権と予算権だけです。企画の内容やどこの誰と組むといった迷走に口を挟んではいけないし、新しい事業に関するスキルを持ち合わせてはいないでしょう。親切な上長なら浮き輪くらいは渡してあげよう。
さて、引き当てられたチーム員は「この状況を楽しもう」位で前進して欲しい。