「何とかしたい」①という気づきと、「何とかする」③という行動に移っていくためには、「今が一番底である」②という現状認識が不可欠だと思います。つまり何を言わんとしているのかですが、何とかしたいという期待や夢があるという状態は、現状が劣っているという認識だということです。
育成を目的とした戦略セミナーで最初に引っ掛かるポイントの多くは、この現状認識です。あなたが「なりたい姿」に向かっているとして、先月から今月へと時間が進んできましたので、この1ヶ月間で達成できた成果を定量的に教えてください。
このような問い掛けをすると、キョトンとして答えが返ってこないコトがあります。このような状態だと戦略討議に入る前に、自分を理解することから始めなければいけません。
「なりたい姿」と「現状」の間にある劣っているコトを正確に定量的に把握しなければ、行動を起こすことは不可能だといえます。「とにかくやってみろ」という無軌道な行動を続けていたのでは、どこに向かっているのか分からずじまいで結局のところ疲れ切ってしまいます。シェア1位になるなどの比較優位論では競争相手を見ているだけです。「なりたい姿」が勝つことだけであれば比較優位で良いのですが「なりたい姿」には達成するコトで、近づくであろう目的が存在しているはずです。つまり目的を意識したうえで定量化するコトができれば、この三角形が示している思考の構造化は完成します。
今日のニュースで100m日本新記録9秒97を走ったサニブラウン・ハキームさんの記録解説が行われていました。彼は東京オリンピックに出る、金メダルを狙う、ではなくボルトの世界記録を更新するというところ、つまり人類最速という絶対値を意識していると感じたのは、私だけでしょうか。彼のアクティビティは計測可能な定量化が成されています。スタートから加速度Maxまでの歩数と体重加速を計る前傾姿勢を保つコト。そのための体幹をつくるトレーニングプランを熟しているということらしい。インタビューでは、今日のは日本新だとは実感できないが、まだまだ速く走れると思っていると語っている。
昨日の試合で日本代表となったサッカーの久保選手といい、目が離せないプレーヤーが出現してきています。どのような思考の構造化をしているのか知りたいものです。そうした彼らにあっても「今が一番底」であって越えなければいけないハードルがあると認識して、インタビューなどで発言しています。
今日のあなたは、先月のあなたと違っているところを教えてください。できるだけ具体的にね。